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6月の法話(令和元年)

6月の法話(令和元年)

原文:光明は、あまねく十方世界を照らし、念仏の衆生を摂取して捨てたまはず
【仏説観無量寿経】
現代語訳:光明はひろくすべての世界を照らして、仏を念じる人々を残らずその中に摂め取り、捨てることがないのである

今年の東京大学の祝辞が賛否両論の物議を醸しだしました。祝辞を読んだのは2011年3月まで東大で教鞭を取っておられた上野千鶴子さん。
祝辞の冒頭では昨年の東京医科大不正入試問題での女子学生と浪人生に差別があることにふれ,女子学生の置かれている現実の厳しさを伝えました。また,ノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイさんが日本を訪れて“女子教育”の必要性を訴えたことに触れ,『彼女のお父さんは、「どうやって娘を育てたか」と訊かれて,「娘の翼を折らないようにしてきた」と答えた』ことについて,「日本の多くの娘たちは、子どもなら誰でも持っている翼を折られてきた」と述べました。

そして祝辞の最後の方で,『…あなたたちは選抜されてここに来ました…中略…あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと...たちがいます。がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。
あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。…』と述べました。

とても考えさせられる内容で,祝辞としての一般的な概念を変えたと思いますし,「これぞ本当に祝辞!」とも思います。最初から一人きりで生きてきた人間も,最後まで一人きりで生きていける人間もいないと思います。
多くの命に支えられ“私”が存在していること。その周囲の環境の大切さを伝えてくださったこの祝辞は,これから学んでいく学生にとって“自らの存在”と取り巻く環境を考える縁と成り得たものです。

イソップ童話の『北風と太陽』の“太陽の暖かさ”が分かるのは,冷たい北風の存在があればこそです。太陽は焼けてしまうような熱さではなく,程よい暖かさを旅人に施しています。太陽のように相手の気持ちになって考えるということの大切さを上野さんはこの祝辞で伝えてくださっておられます。とても有難いものです。そして何より太陽以上に私の存在というものを慈しみ働きかけておられるのが阿弥陀様です。有難いですね。


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