7月の法話|お知らせ

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2025.07.02

法話

7月の法話

お浄土は真ん中も端っこもない世界


一人でいると孤独感 二人でいると劣等感


 


三人でいると疎外感 あなたはあなたのままがいい


今月は、東京にある真宗会館が出している「言の葉カード」より、藤場芳子氏のお言葉です。私たち「人間」は、「間」柄を生きる、関係存在だといわれます。家族、学校、会社、地区など、様々な関係がありますが、皆さまはこの言葉を聞いてどのように感じられますか?


まず「1人でいると孤独感」ですが、私は小さい頃8人家族で、当時は「1人の時間が欲しい」と思っていました。しかし、いざ大学生になり念願の一人暮らしを始めると孤独を感じ家族が恋しくなりました。また学生の頃、盛り上がるのが苦手だったため、運動会や文化祭といった中でどこか一人孤独を感じていたのを覚えています。次に「2人でいると劣等感」ですが、他人と比べて「自分なんか」と落ち込んだりすることがあります。反対に、「この人よりは」と思って優越感に浸ることもあります。そして「3人でいると疎外感」ですが、自分以外の2人の話やテンションについていけないとき、悪気がないことはわかっていながらも疎外感を味わうことがあります。


 


 お経では、阿弥陀如来が建立されたお浄土は、私たちや私たちの生きるこの世界を照らし出すために様々な特徴をもって説かれています。その1つに「広大にして辺際なし」、はかりしれなく広く端っこがないという特徴があります。それは、阿弥陀如来があらゆる世界に隔たりがあり、様々なせわしさで息苦しい様子をご覧になられて、一人ひとりを必ず救いたいと誓われたからです。


 私たちは一人として同じ人生を歩む人がいないように、自分と全く同じ考え・心を持っている人はいません。また、孤独感、劣等感、疎外感といったものの根底には共通して「比べる心」があります。つまり、私たち一人ひとりの心こそが隔たりをつくっているのです。私はこれまでお浄土を、「亡くなった方のための世界」や「本当に実在するのか」ということでしか捉えていませんでした。しかし、お浄土を広大で端っこがないようにとされた阿弥陀如来の願いにふれるとき、心の中で隔たりをつくり、自分を自分のまま、あなたをあなたのまま受け止められないで、同じように孤独感、劣等感、疎外感を抱えて生きている私たちが照らされます。そのように照らされると、バラバラだと思っていた私たちが実は同じものを抱え、ともに生きていることを感じられるのです。


 


 

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