他を滅ぼす道は己を滅ぼす道
他を生かす道こそ己が生かされる道
本願寺広島別院 安芸教区
皆様は本堂のお飾りの中に頭が二つ、体が一つの不思議な鳥がいることをご存じでしょうか。この鳥を共命鳥(ぐみょうちょう)と
いいます。頭が二つあるわけですから、性格、考え方も二つに分かれているのです。片方をカルダ、もう片方をウパカルダといいます。
共命鳥についてはこんな話が伝えられています。ある日、ウパカルダが眠っている間に、カルダが木の実を独りで食べてしまいました。起きた後にそのことに気づいたウパカルダは独り占めされたと思い腹を立てます。そしてカルダを痛い目にあわせようと毒の木の実を食べさせます。毒の実を食べさせられたカルダはもちろん死んでしまいます。ところが体一つをともにしておりますのでその毒は、毒の実を食べさせたウパカルダにまで回って、結局両方とも死んでしまったのだといわれています。この話を聞いてどう思われたでしょう。何を馬鹿なことをやっているんだと思われたでしょうか。それともなんだが他人事ではない話だと感じられたでしょうか。
お互いに命を尊び合い、支え合う阿弥陀様の世界に、この共命鳥が飛んでいるとされております。本堂のお飾りはお浄土を飛ぶ共命鳥の姿を記したものです。すぐそばにいるものを騙し、その命を傷つけようとした共命鳥が、なぜお浄土を飛んでいると伝えられるのでしょう。それは、阿弥陀様が共命鳥の姿を通して大切なことを私たちに伝えるためです。それは「他を滅ぼす道は己を滅ぼす道、他を生かす道こそ己が生かされる道」ということです。
共命鳥は二つの頭にそれぞれに意識がありますが、共に命と書いてある通り、命を共にして繋がっております。私たちは自分の命と他の命を別々に考えてしまいがちです。しかし、仏さまはすべての命はつながっているのだよと私たち教えてくださっています。私たちが今この時まで命を頂いているのは、数々の人に支えられていたから、大きな「命のつながりの中」にいたからであると共命鳥のお話から考えさせられました。共命鳥の姿には他者といがみ合い時には国と国の争いにまでなってしまう、そんな世間の在り方に対する阿弥陀様のまなざしが映しだされているのではないかそう思わずにはいられません。お参りにいらっしゃった際にはぜひ共命鳥を探してみてください。

