4月の法話 |お知らせ

NEWS

お知らせ

2025.03.31

法話

4月の法話 

(ゆき)(た)えて梅花(ばいか)(うるわ)


春らしい季節になりました。たくさんの花々が咲き乱れ、華やかで幸せな気分になります。人間の世界でも、新しい学校や職場で、夢や希望、喜びにあふれる姿が見られる季節だと思います。冷たい雪にじっと耐えて花を咲かせる梅の木のように、人間も苦しみや悲しみに耐え忍んだから、この喜びがあると感じることもあるのではないでしょうか。自分の努力はもちろん、支えてくれた沢山の人びとにも、心から感謝すべきだと思います。でも喜びは、長くは続きませんよね。咲いた花は必ず散りますし、新しい悩みや苦しみがタケノコのように、ニョキニョキと出てきます。ですから、「こんなはずではなかった」「これからどうなるんだろう」と、後悔や不安にさいなまれ、また「歯を食いしばって頑張ろう」となります。この繰り返しが人生かもしれません。そんな繰り返しが、車の車輪のようにずっと続くとしたら、少しむなしい気もしませんか。


 


仏教を開かれたお釈迦さまは、「過去を追うな。未来を願うな。ただ今日なすべきことを熱心になせ」と言われたそうです。「過去をくよくよせず、未来を願うことなく、今日なすべきことに集中して、努力するという生き方」。言うは易く行うは難しだと思います。現在に集中して日々を過ごすためには、どうすればよいでしょうか。浄土真宗では「安心」ということがよく言われます。いやなことやつらいことがあってもへこたれず、逆に良いことがあっても有頂天にならないで、生きて行くためには、「何があっても大丈夫」という「安心」が必要だと思います。その「安心」は、どういうときに感じたかと、自分の人生を振り返りますと、意識するしないにかかわらず「守られていた」時間だと思います。例えて言えば、両親に守られながら、受験勉強や部活動に励んだころ、文句をいいながらも、親の深い愛情に守られていたんだなと、両親を亡くしてはじめて思えます。阿弥陀如来という仏さまは、「どんなものでもそのまま救う」というご本願をたてられ、それを成就されたといわれます。南無阿弥陀仏のお名号として、その願いを実現され、いつでもどこでも、私たちを守って下さっています。阿弥陀さまのおこころを思い出し、「なむあみだぶつ」を称えながら安心して感謝しながら今を生きる、それが私たちの生き方と言えるのではないでしょうか。


 

CATEGORY

ARCHIVE