10月の法話(令和6年)|お知らせ

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2024.10.01

法話

10月の法話(令和6年)

【今月のことば】
あつさ さむさも 彼岸まで



「あつさ、さむさも彼岸まで」お彼岸を迎える時期になりましたらこの言葉を耳にいたします。昔からこの時期は、それまでの暑さから、少し肌寒さをおぼえる季節の転換点ということですね。


今年は例年にない猛暑が続きましたが、やはりお彼岸の時期を境にして季節が変わっていきました。ただ今年は、例年にない豪雨災害が続き、多くの方々が被災されました。心からお見舞いを申し上げますとともに、決して誰にとっても他人ごとではないので、かねてからの備えが大切であることを思い知らされた年でもありました。


さて、それまでの暑さがやわらぎ過ごしやすくなるのが秋の彼岸。厳しい寒さから陽射しのあたたかさを感じて、やはり過ごしやすくなるのが春の彼岸ですが、この彼岸の真ん中の日が「春分の日」「秋分の日」です。この春分・秋分の日を中に挟んで、前後三日を加えた七日間に「お彼岸の法要」がいろんな寺院で勤められます。


最近、皆様は日の出やと日の入りをご覧になったことはありますか。私の生まれ在所は太平洋側で、朝日を眺める機会が多くありました。闇から光の世界に変わりゆく情景には何とも言えない気持ちになりました。希望と命に息吹を与えられるような躍動感を頂くような感じでした。今でもたまに眺めにいきます。また、母の実家が、沈みゆく太陽が見える東シナ海に面した地であり、幼いころに見たその光景が記憶の中に残っています。たまに夕日を見にいきますが、最近では夕日を眺めながら思う事は、いのちの終わり、いのちが帰る世界のことです。


ところで、春分・秋分の日は、太陽が真東から昇り真西に沈んでいくことから、お彼岸の法要がこの時期営まれるようになったといわれています。この時期にお彼岸の法要をお勤めするのは日本独自のもので、インドや中国にはない習慣だそうです。彼岸はサンスクリット語では(Paramita)パーラミターといい、「最高の状態」という意味です。この言葉が中国で「到彼岸」と漢訳されました。つまり彼岸という言葉は「私たちにとって最高の状態である『悟りの世界』」をあらわしているのです。この彼岸に対する言葉を此岸といいますが、これは「迷いの世界」のことで、私たちが苦悩を抱えて生きている今の世界のことです。この迷いの世界(此岸)からさとりの世界(彼岸)に到る道を知り学ぶのが彼岸の仏縁です。



春分の日は「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」、秋分の日は「祖先をうやまい、なくなった人びとをしのぶ日」といわれます。普段は忙しくて自分の人生を問う事なく過ごしがちな私たちですが、気候のおだやかな彼岸の時期には、仏さまの教えを聞くというご縁をむすんでいただきたいものです。西に沈む夕日を見ながら、私たちのいのちが還る世界(彼岸)に思いをはせた先人と同じように、手を合わせる時間をもってみましょう。


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