5月の法話(平成29年)
5月の法話(平成29年)
争う必要はありません
原文…清風宝樹をふくときは いつつの音声いだしつつ 宮商和して自然なり 清浄薫を礼すべし
(浄土和讃)
やがてお盆がきますが、一年を通して一番質問が多いのがお盆のことです。迎え火、送り火、ご先祖様のお膳の置き場所、お供え物、提灯、精霊流しなど…。
西本願寺では、一年を通しての特別な日(初七日・四十九日・祥月命日・お盆・お彼岸・お正月・親鸞聖人の祥月命日の一月十六日等)には何をすればいいのでしょうか?特に決まりごとはありません。大事なことはお寺にお参りすることですが、それも様々な事情がありましょうから、出来るかぎりと申しておきましょう。お墓も同様です。お仏壇をお持ちの方に関しては、特別なお飾りをしていただければありがたいと思います。
まず普段の日は、三具足(みつぐそく)というお飾りをします。花(か)瓶(ひん)(向かって左側)、香(こう)炉(ろ)(中央)、蠟燭(ろうそく)立(た)て(向かって右側)、の仏具を三つ使ったお飾りになります。
特別な日は、五(ご)具(ぐ)足(そく)というお飾りをします。花瓶一対(両端に置く)、蠟燭立て一対(花瓶左右の内側に置く)、香炉(中央)、の仏具を五つ使ったお飾りになります。
五具足のお飾りをするときには、水(みず)引(ひき)(長方形の布)、打(うち)敷(しき)(三角形の布)も、お持ちの方はお飾りします。一年中、水引・打敷をお飾りしている方もいますが、正式には五具足にするときにだけして、三具足のときには、外すようにします。
五具足のお飾りをするときは特別な日なので、何かお供え物もします。お仏壇にお供えする物は、生きている私たちがいただく物になりますので、ご先祖様の好きだった物などを無理にお供えする必要はありません。
それと、お仏壇の中心はあくまでも、ご先祖様ではなく阿弥陀様ですので、茶器にお茶やお水を入れてお供えする必要はありません。出来れば、お浄土のお水をあらわす華(け)瓶(びょう)一対をお飾りしましょう。
原文の現代語訳は
『七種の宝石で輝く浄土の樹々の林を清らかな風がそよぐとき、高さの異なった五つの音階が流れ出て、共鳴するはずのない不協和音でさえ自然に響き合って妙なる和音を奏でます。また、その風は音色とともに清らかな匂いも運んできます。 清らかで澄みきった香気が漂う阿弥陀仏を敬い尊ぶべきであります。』となります。
日頃は意見の違う者同士でも特別な日くらいは、蠟燭、線香に火をつけて、家族皆で念珠を持ってお仏壇にお参りし、お参りが済んだらお茶でもいれてお供えした物を下げて、それをいただきながらご先祖様を偲ぶというのが特別な日のよい過ごし方ではないでしょうか。